教員の意見を聞いてみよう(かけ算の順序について)1

ベテラン教師(叔母)に聞いてみた


 …さて、どうしたものか。とりあえず、都で長年小学校の教員をしている叔母に現状把握のために話を聞いてみた。俺「娘のクラスでも掛け算に順序があると教えていて驚いたのだが」叔母「そうなのよ、おかしいでしょ?」。叔母は国語科出身の教員なのだが、やはり違和感があるらしい。「うちのクラスでは掛け算の順序を逆にしても、むしろよく気がついたね、と褒めてあげるが、若い先生なんかはバツをつけたりするから心配」…  

 
 「だからうちのクラスでは『他のクラスや学校では掛け算順序を逆に書くとバツになることもあるから気をつけなさい』と『配慮』している」と。「これじゃ算数じゃなくて生活指導よね」名言だと思う。

 

 俺「やはり教師向けの指導書に掛け算順序を逆にすると誤りと書かれているのが原因か?」 叔母(教員)「それより業者製のテストプリントが問題。解答がそうなっている以上、若い先生は信じこんじゃう。」なるほど、テストプリントか…

 

 数学会の研究者たちもだらしないと思う。……小学校の算数のテストプリントの解答がどうこうなんて下らないテーマに思えるのかもしれないが、二流の数学者たちに算数教育を丸投げするからこういうことになる。(挑発)

 

 「いつからこんなに 掛け算 順序にこだわる教育になったのか。一説には60年代からすでに提唱されていたともいうが。」叔母(教員)「そうよ、私の新卒の頃も順序があるって研修受けたから。といっても誰も信用してなくて従わなかったけどね。」

 

 ひょっとすると俺たちが教わった先生たちは、たとえ研修や、教員用の指導書や、業者プリントの解答に「 掛け算 には順序がある」と書いてあったとしても、教科書と学習指導要領、そして何より数学的真理に照らして、順序を「逆」に答えた生徒にも◯を付けていた、ということなのか…

 

 ご指摘のとおり、影響力の強さや力関係などを冷静に考えれば、批判の対象は教科書出版社と執筆者にこそ向けられるべきですね。ここを忘れてはなりません。

 

【小学校算数】長方形の面積を求める公式について
                                                      

 小学校では、「長方形の面積は、縦かける横」と教えますが、これはなぜでしょうか。X軸、Y軸という順で考えるなら、「横かける縦」であるべきでは、とも思えるのですが。現に、三角形では「底辺かける高さ割る2」が公式とされている(Xが先でYが後)わけですし。 


 また、「縦4cm横5cmの長方形の面積」を求めるにあたって、「4×5」が正解で「5×4」は不正解(または減点)、としている先生も多いと思うのですが、その根拠はあるのでしょうか。(「公式と違うから」以外で)

 

 長方形の面積=横×縦を誤りとする教え方の存在を上野健爾氏(数学者)が平成13年の中央教育審議会の教育課程部会で指摘した。その後、学習指導要領解説では縦×横と横×縦が併記されるようになった。これは、かけ算の順序の延長で、面積の計算にも意味を見いだすべきという哲学が生まれたのが原因のようです。※ 実際に○○小学校でも、昔は公式を大事にという考えで×にしていた時代がありました。
                                                                                      
 これが例えば、「4人が200円ずつ募金したら全部で何円」といった問題であれば、「200が4つだから200×4」というのはまあわかります。(4×200だと、「200人が4円ずつ」になる)※残念ながら、先生は、教えられた通り、指導書通りの理解をしていますね。

 

 しかし、図形の縦横は見ようによりますし、どっちも同じ「長さ」を表す数ですので、「逆でもいいのでは?」と思えてなりません。当方、小学校勤務ですが、不勉強で今ひとつよくわかりません。よろしくお願いします。

 

素晴らしい回答がありました。面積の意味をしっかり理解されて答えています。


 「正方形や長方形の面積を求めるには、単位となる正方形を敷き詰めて、その個数を求めればよいことから、その総数を求めることに、乗法を使えば便利であることが分かるようにする。そして、縦(または横)に並ぶ単位の正方形の個数は縦(または横)の辺の長さを表す数と一致していることから、(長方形の面積)=(縦)×(横)という公式が導かれ、更に面積の見方を一歩進めて、長方形の面積が縦と横の辺の長さを用いた計算によって求めることができることを理解できるようにする。ともすると、長方形の面積は縦の長さと横の長さをかければよい、と形式的に指導されがちであるが、あくまで一辺が1㎝の正方形の個数を求めるという式の意味を理解できるように指導していく。」


 不思議なのは、学校内で相談したりしないのと思ったのですが、後日先輩に相談したことが書いてありました。先輩からは、良く分からないから公式通りの順でお願いしますと言われたと。


日本の子どもが数学のできない理由  中沢 良平(元小学校教師)
 

 小学校の算数は、数学の基礎だ。と思われている方は、認識を改めた方がいい。小学校の算数の授業は、国語の授業だからである。で、国語の授業は何をやっているかというと、道徳の授業なのである。もちろん、道徳の授業は道徳の授業をやっている。道徳オリエンテッドな学校教育である。残念だが。(肯定派のブログにも算数は、数学とは違います。算数は、国語の要素も含んでいるんです。)とありました。


 この方は、かけ算順序否定派ですが、肯定派もまるで同じ事を述べていることから、本当の事と考えられます。数と遊んで、知らず知らずのうちに、数を自分の物にしていく時間がないようです。日本語の理解がまだ難しい年代に、数字以外のことで悩ませることは止めて欲しいです。
                                                                                      
 さて、では算数でどんな授業が展開されているかというのをみなさんにご紹介したい。まず、子どもたちにこういう質問をするのだ。


  ①5×2の計算の問題を考えましょう。 
  ②2×5の計算の問題を考えましょう。
子どもたちの頭の中は??????になる。

正解はたとえば
  ①鉛筆5本ずつを2人に上げます。全部で何本いりますか。
  ②鉛筆2本ずつを5人に上げます。全部で何本いりますか。 とならなくてはならない。
  
 5×2と2×5はまったくちがうということになってしまうのだ。理科系の人間のわたしには、ここにこだわる理由がまったくわからない。もしかしたら、すごく算数教育的な意味があるのかもしれないが、さらに罪深いことに、これは小学校2年生にはぎゃくにわかりにくい説明になってしまう。5×2と2×5も交換法則で同じでいいではないか。と思う私は圧倒的少数派で、これにこだわりを見せて数時間もかけてこれをできるようにするのだが、子どもたちはますます混乱をおぼえるのである。そんな説明しないで、九九を覚えさせた方がいいのでは。

 

 そして子どもたちは、この5×2と2×5のちがいをノートに言葉で説明しなくてはならない。これは算数が直感的にできても、国語がちょっと苦手な子どもにはかなり負担である。だいたい算数の言語は、国語よりも数学的記述においてはすぐれているはずである。しかし、これが日本の小学校ではオーソドックスなのである。

 

 わたしはこのような教え方では、これでは数学の才能をスポイルしてしまうのではないかと危惧しているのだが、みなさんはどう思うであろうか。ちなみに、こういうことから離れてるので数学になると、楽しいと思うようになる子どもも少なからずいる。

 しかし、そこまでに脱落してしまう子どもを大量に作っていることに、わたしは危機感をおぼえるのだが。それにしても、この算数の説明はわかりにくすぎないだろうか。これは、九九に限らず、小学校の文系先生たちの教える算数教育の大問題なのだとわたしは思っている。

 私個人としては、この方の意見に大賛成です。変な理屈と押し付けは要りません。現在、必要がない部分での無駄な説明や練習に時間を取られすぎています。逆に、丁寧な反復練習がないと、身につかない大事な部分に時間が割けていない気がします。このことが、小学生の基礎基本が付きにくい原因になっていると考えている方もいます。